あらかじめ約束した値段で株を買うことのできる権利を、新株予約権といいます。
このうち、自社の従業員に対して与えられるものが、ストックオプションと呼ばれます。従業員からすると、自社の業績アップに貢献して株価を上昇させることができれば、それに応じて利益を得ることができます。
そのため、成長局面にある企業では、優秀な人材を集めたり従業員のモチベーションを高めたりするための仕組みとして、ストックオプションが活用されています。
ストックオプションによって利益を得る仕組みを詳しく見ていきましょう。
① ストックオプションをもらう(権利付与) ② ストックオプションを使って株を買う(権利行使) ③ 買った株を売って利益を得る(株式売却)
つまり、②の権利行使で株を取得しても、③の株式売却まで利益を得ることができない仕組みになっているのです。
にもかかわらず、税法上の原則では、②の時点で課税されてしまいます。これでは、利益がないのに税だけ払うことになってしまいます。
そこで、税制適格という優遇制度が設けられています。
一定の要件を満たせば、③の時点になって初めて課税されるという扱いが認められる制度です。
税制適格には、税率の面でもメリットがあります。
ストックオプションは給与所得として扱われ、最大約55%の累進課税をされるのが原則ですが、税制適格が認められると、株式譲渡として約20%の固定税率で済むことになるのです。
税制適格の要件には、無償発行であることや、権利行使して株を買える値段の約束が権利付与時の株価以上に設定されていることなどがあります。
なお、無償発行のストックオプションについては、権利付与時には財産的価値が発生しません。
そのため、権利付与時の会計処理は不要です。
一方、権利行使時には会計処理が必要になります。
その際には、従業員が権利行使のために会社に払い込んだお金を、資本金及び資本準備金に振り替える私訳をすることになります。
就職や転職をお考えの方は、こうした制度の活用を検討されてはいかがでしょうか。
その際には、ストックオプション制度の有無を調べる機能が付いた求人アプリが、たいへん役に立つでしょう。
また、ストックオプションについて理解を深めたければ安価な書籍などを熟読するのも良い方法であると言えます。